室内飼いの重要性
ひと昔前までは、犬や猫を屋外で飼育する家庭はたくさんありました。庭につながれている犬や、近所を自由にお散歩する飼い猫を見る機会もあったことでしょう。
しかし、現在は「ペットも家族の一員」という考え方が浸透したことや、室内飼育のメリットや屋外飼育のデメリットを考慮した結果、室内飼いを選択する飼い主さんが増えています。
また、特に海外を原産とする犬や猫のなかには、高温多湿な日本の夏や、寒い冬に適していない種類もいます。そういった犬猫を屋外で飼うことは、ペットたちの体に大きな負担を強いてしまうのです。
飼育に適した環境をつくるという意味でも、室内飼いの必要性はご理解いただけるのではないでしょうか。
室内飼いのメリット
「室内で犬や猫を飼うことは、屋外で飼うこととどう違うの?」、「室内に閉じ込めるのはかわいそう」と感じている人もいるかもしれませんね。室内飼いには、大切なペットの命、そして家族の暮らしを守ってくれるメリットがたくさんあります。
・病気や事故を防げる
屋外で犬猫を飼う場合、道路への飛び出しによる事故やほかの動物とのケンカ、心ない人からのイタズラなどでケガをする危険性があります。さらに、気温の変化で体調を崩したり、感染症をもらってしまったりする可能性も考えられます。しかし室内飼いをすることで、これらのリスクは軽減することができます。実際、野外で暮らす犬猫と比べて、室内飼いの方が長生き傾向にあるというデータもあるのです。
また室内飼いは、ノミやダニ、フィラリアの原因となる蚊といった寄生虫・害虫の予防にもつながります。
・ご近所トラブルを防げる
外飼いの場合、犬猫の鳴き声や敷地外での糞尿問題など、ご近所とトラブルになる要素は少なくありません。室内で飼うことで、これらの問題の多くは解消できると言えます。
また自分たちにとっては大切な家族の一員でも、動物が苦手な人にとっては恐怖の対象になってしまうケースもあります。室内飼いは、ご近所さんへの配慮にもつながるのです。
・迷い犬・迷い猫になる可能性を下げられる
犬猫を飼うときに考えなければいけないのが、脱走問題です。首輪やリードをつけていても、何かの拍子で外れて脱走してしまうことがあります。「外で飼っているので、逃げられたのに気が付かなかった……」なんて言うのはとても怖い話ですね。
残念なことに、パニックになった犬猫が遠くに行ってしまい、見つからなかったという悲しいケースも決して少なくありません。
敷地内であっても、脱走の危険性を考えると、放し飼いは論外です。室内飼いの場合、扉や窓の開閉に気を付けさえすれば、脱走のリスクを下げることができます。
・盗難の可能性を下げられる
信じられない話かもしれませんが、世の中には自分より弱い動物にイタズラしたり、虐待したりする目的で盗難する人が存在します。血統書付きでなかったとしても、盗難の対象になり得ます。「うちの子は雑種だから大丈夫」なんて言い訳は通用しないのです。
以上のような理由から、犬猫を譲渡する行政や保護団体も室内飼育を推奨しています。すべては、犬猫の幸せを願ってのことなのです。
犬を室内飼育するポイント
実際、犬と室内で暮らすにはどのようなことに気を付けるといいのでしょうか。大切なのは、犬にとっても人にとっても快適な居住環境をつくることです。ここでは具体的なポイントについて解説します。
・誤飲したりイタズラしたりしそうなものは片づける
わんぱくかつ食欲旺盛な犬と暮らすコツは、とにかく余計なものを室内に置かないということです。床に落ちている小物や人間の食べ物などは、誤飲の対象になります。特に犬が食べてはいけない危険な食材や、ボタンやキーホルダーなどに注意しましょう。
また、電気コードをかじるイタズラにも注意してください。配線を工夫したり、専用のカバーを活用したりなど、コードを触らせないような対策を講じましょう。
・足腰を痛める原因となる床にはなるべくカーペットを敷く
フローリングの床は掃除しやすく便利ですが、犬にとっては滑りやすく、骨折や脱臼の原因になることがあります。犬が暮らす部屋には、なるべくカーペットやマットを敷いて足腰を守ってあげましょう。特に股関節やひざ関節が弱い小型犬や、シニア犬には十分注意する必要があります。
・入ってほしくない場所には柵を設置する
家の中でも、犬が入っていい場所とそうでない場所はしっかり区分けする必要があります。キッチンや玄関などには、犬が飛び越えられない高さの柵を設置して侵入を防ぎましょう。犬は思っているよりもジャンプ力があり、子犬のころは飛び越えられなかった柵でも、気が付いたら楽々飛び越えられてしまった……なんてケースもあります。犬の成長に合わせた高さの柵を選びましょう。
猫を室内飼育するポイント
続いて、猫と暮らす場合はどうなのでしょうか。お散歩する犬とは違い、猫は本当の意味で“完全”室内飼いなるケースが多いです。ずっと過ごす場所だからこそ、猫が安心して暮らせる環境をつくってあげたいものですね。
・誤飲したりイタズラしたりしそうなものは片づける
犬の場合と同様に、猫も誤飲やイタズラの可能性を考えなければなりません。猫にとって危険な食材はもちろん、小物類や乾電池、ゴミなど、猫の口に入りそうなサイズのものは片づけてしまいましょう。電気コードは極力隠し、イタズラされないように気を付けてください。
・脱走防止のための柵などを設置する
猫は犬よりも脱走しやすく、一度外に出てしまうと帰ってこられなくなるケースが多いです。室内の脱走ポイントはすべて対策を講じましょう。特に気を付けたいのは玄関や居室の窓、風呂場の窓などです。
ジャンプ力が高く、隙間をすり抜けることが得意な猫。脱走防止柵やネットを設置する際は、高さ1.7m以上を目安にしましょう。
・キャットタワーなどで上下運動できる工夫をする
完全室内飼いの猫は、どうしても運動不足に陥りがちです。ストレス発散や肥満防止の意味でもキャットタワーを設置するなど、室内でも体を動かせる環境をつくってあげましょう。
キャットタワーは猫のサイズに合ったものを選んでください。天井に突っ張って固定するタイプ、床置きできるタイプ、壁にステップをくっつけるタイプ、爪とぎやベッドが付いたタイプなど、バリエーションもさまざまです。インテリアと調和するものを選ぶのも楽しいですよ。
まとめ
保護犬や猫を室内飼いすることの重要性や、飼育のポイントを解説しました。室内に閉じ込めておくのはかわいそうな気もしますが、飼い主の目を離れて外にいさせることのほうが病気やケガのリスクが高いのです。
室内飼いでのストレスが気になる場合は、犬は毎日のお散歩を習慣に。猫の場合はキャットタワーやおもちゃを活用し、十分な運動時間を確保しましょう。
そばにペットを置いておくというのは、それだけ一緒に過ごせる時間も長くなるということです。互いに快適に過ごせる環境をつくり、充実したペットライフをお過ごしください!