初心者が保護犬を飼うのは難しい?
そもそも保護犬とは
保護犬とは事情により保護された犬のことをいいます。
犬の保護は主に動物愛護センターや保健所、民間の動物愛護団体がおこないます。
保護される事情はさまざまです。
飼い主が飼育困難になり手放した犬
飼い主の病気や金銭的理由で手放された犬、飼い主死亡により行き場がなく保護された犬などがいます。家庭犬として暮らし、ある時期まで、かわいがられていた犬も多いです。
多頭飼育崩壊から出てきた犬
多頭飼育崩壊の現場から、保健所や保健所登録団体によりレスキューされた犬のことです。
犬は状態がよくないことがほとんどですが、「性格や健康状態が譲渡可能レベル」と判断された犬について里親を募集しています。
ブリーダーが劣悪な環境で飼育していた犬
多頭飼育出身の保護犬たちと似た状況で、状態がよくない犬がほとんど。
ケージを出たことがない犬、散歩を知らない犬、病気の犬、声帯を取られている犬などもいます。
常同行動(同じ行動を繰り返したり、同じ場所を行ったり来たりすること)がみられることもあり、心のケアに時間がかかるケースが多いです。
人と接触したことのない野犬
狂犬病予防法に基づき、「飼い主がいない犬=野犬」と判断され、保健所や動物愛護センターに収容された犬のこと。
基本的に人との接触経験はないものの、お腹の大きい状態で保護され収容後に出産する犬や、子犬もいるため、飼育が難しいとは限りません。
初心者でも保護犬を飼える?
初心者でも保護犬を飼えます。
ただし、保護に至るまでの経緯はさまざまなので、性格などを見極め、一匹一匹に合わせた飼い方やしつけをおこなうことが必要です。
初心者が保護犬を迎えるメリット
保護活動者が相性のいい犬を紹介してくれる
保護犬はさまざまな事情を抱えているため、心身のケアをし、性格などを見極める必要があると解説しましたが、それらをおこなっているのが行政や保護団体などです。
保護団体では、里親希望者からの情報をもとに、飼育環境や相性のマッチング作業をおこないます。
保健所や動物愛護センターでも、里親希望者自身が研修を受けたり、実際に犬と会ったりする時間が設けられています。
しつけを済ませてくれている可能性が高い
保護団体の保護犬の場合、保護したあとにすぐ譲渡することはめったにありません。
心身のケアをおこない、家庭犬としての暮らしを知ってもらうため、預かりスタッフの自宅で生活する期間が設定されていることが多いです。
保健所やセンターの保護犬も、気になる行動や性格については必ずアナウンスがあります。また、咬みつきなど攻撃性がみられた犬は、保護団体が介入するケースも多く、一般公募となっても初心者に託されることはありません。
嘘偽りなく健康状態を教えてもらえる
保護犬の多くが里親募集前には健康診断を受け、必要な治療を受けていますが、里親となる人はその結果すべてを教えてもらえます。
病院で受診できていない場合や、引き続き治療が必要な場合であっても、包み隠さずすべて教えてくれるのです。
行政の保護犬も、施設内の獣医による健康診断だけでなく、避妊/去勢手術を済ませるケースも増えてきています。
お迎え後もしっかり相談にのってくれる
保護団体のスタッフや預かりボランティアにはもちろん、保健所やセンターでも、譲渡後に報告や相談を受け入れてくれる体制を整えています。
保護活動者やセンター職員の方々は、自分の子どもをお嫁さんやお婿さんに出すような、そんな幸せな気持ちで里親へ託すそうです。お迎え後も実家のような存在として、いざというときは頼りにしましょう。
成犬の場合、性格や体型がある程度決まっている
迎える犬が成犬であれば、性格や体型に今後大きな変化はありません。
ある程度予測できるので、飼育の準備やシミュレーションはしやすいといえるでしょう。
保護犬を迎えるときの注意点
「かわいそう」だけの理由で迎えない
犬たちを取り巻く過酷な現状を知り、一頭でもいいから幸せにしてあげたいという気持ちから、多くの方が里親という選択肢を考えはじめるといいます。
この「幸せにしてあげたい」という気持ちと似ているようで異なる「かわいそうだから」という理由は、実際に犬を引き取って時間やお金をかけて世話をする楽しさやパワーにはなかなかつながりにくいです。
慈悲の心だけでなく、犬が好きで、犬と楽しく暮らしたいという思いがあるかどうかはとても重要です。
一匹一匹の特性を理解する
元野良犬や虐待を受けた過去を持つ犬など保護までの経緯がさまざまなように、苦手なこと、怖いこと、得意なことなど特性もそれぞれ大きく違います。
迎える犬の性格を見極めたうえで、その犬にあった接し方を意識しましょう。
見た目だけでなく内面も重視する
里親の申し込みきっかけは「掲載されている犬の写真や動画などを見かけ一目惚れした」というものが多いようです。なかには、以前飼っていた犬にそっくりだからという理由での申し込みもあるといいます。
外見が入り口になるのは当然であり、悪いことではありません。
しかし内面もよく知ってからでないとイメージと違うとか、自分のライフスタイルと合わないなんていうことになりかねません。犬の内面にも興味を持ち、慎重に検討しましょう。
保護犬を迎える方法
愛護センターに申し込む
全国各地の動物愛護センターでは、保護され、返還(飼い主のお迎え)がないまま期限が切れてしまった犬を譲渡する活動をしています。
各センターのホームページの譲渡/募集掲示板をチェックしましょう。
里親条件や申し込み方法などはセンターにより異なりますが、その地域に住んでいる人のみを譲渡対象としているセンターも多いので、まずは地元の施設から調べてみましょう。
野犬の子犬がいたり、講習があったりしますので、初心者OKの犬も多く掲載されています。
保護団体のホームページやSNSに問い合わせる
地元の保護団体や特定の犬種の保護団体など、気になる団体があれば直接問い合わせてみましょう。
犬ごとに記載されている「初心者可/不可」「単身者可/不可」「高齢者可/不可」などの条件は、犬それぞれの性格や状態を考え、団体が設定しているものです。問い合わせの前には必ず、条件をクリアできているか確認しましょう。
譲渡会に参加する
団体主催のもの、行政主催のもの、カフェで開催されるものや広い公園や施設内でおこなわれるものなど、小さな規模のものから大きなものまで、さまざまな譲渡会があります。
チラシやSNSなどをチェックしてみましょう。
譲渡会は少し前まで保護犬と触れ合えることを醍醐味としていましたが、最近はパネル展示のみの譲渡会も多く開催されています。また、参加予定の保護犬も当日の体調や天候によっては来ることができない場合もあります。
しかし、保護犬には直接会うことができなくても、希望する保護犬の預かりボランティア本人や保護団体スタッフ、行政の職員など、人と人との触れ合いがあります。なにより保護活動者たちも里親希望者本人に会えることを楽しみに、譲渡会を企画しています。
気になる譲渡会を見つけたら、ぜひ足を運んでみましょう。
里親募集サイトから探す
行政や保護団体それぞれの里親募集ページのほかに、保護団体が発信している情報をとりまとめている専門サイトがあります。
地域や犬種、保護団体で絞り込む機能や、気になった犬へのお気に入り機能がついていたり、ほかにも保護活動者のブログや譲渡会情報が掲載されていたりと大変便利です。ぜひ活用してみましょう。
まとめ
保護犬との暮らしにどのような夢を抱いていますか?
犬と散歩を楽しみたい、旅行やスポーツを一緒にしたい、抱っこしたり一緒にゴロゴロしたりと家で過ごす時間を大切にしたいなど、いろいろなイメージがあると思います。
描いているライフスタイルやビジョンを明確にすることは、里親条件をクリアするのと同じくらい重要です。
お気に入りの保護犬の情報を集めながら、その犬と一緒に暮らしていく気持ちの準備もはじめましょう。