保護犬は懐かないの?

クローゼットに隠れる犬

人の性格が千差万別であるように、犬にも人懐っこい子、なかなか慣れない子もいます。
とくに保護犬のなかには元野犬や虐待を受けて育った犬などがいるため、人慣れしていないイメージを抱かれがちですが、こうした犬たちでも時間をかければ必ず懐いてくれます。

犬種によっては愛情表現がわかりにくい場合も

個体差はありますが、トイプードルやポメラニアンなどの洋犬と比べると、柴犬や秋田犬など日本犬の愛情表現は、飼い主に伝わりにくい場合が多いようです。

犬が苦手な人の特徴は?

吠える犬

においがキツイ人

犬はレモンやミカンなどの柑橘系のにおいや、タバコ臭や香水、柔軟剤のにおいなどが強い人を苦手と感じることが多いようです。

騒がしく、大きな声を出す人

多くの犬は、大きな声で威圧的に話す人や騒がしく落ち着きのない子どもを苦手と感じます。

予測できない動きをする人

犬に真っすぐ向かってくる知らない人やいきなり触ろうとするなど予測できない動きをする人に対して、犬は不安を感じ、嫌がります。

大柄な人や動物

体格の大きい人や動物に対しては、力ではかなわないという本能的な警戒感から、苦手と感じる犬は多くいます。同じ理由で、女性よりも男性を怖いと感じる犬も多いようです。

作業服姿の人

とくに元野犬や元放浪犬は、捕獲作業にあたる人たちとの接触で怖い思いをした経験がトラウマになり、作業服姿の人を怖いと感じる場合があるようです。

犬に懐いてもらうための行動

犬のお世話をする

ごはんやおやつ、散歩など、犬の生活に欠かせない場面を積極的に担当し、お世話をすることでコミュニケーションをとるようにします。

犬のペースに合わせてあげる

懐きにくいタイプの子は警戒心が強いものです。仲良くなりたいからと最初から構いすぎず、少しずつ距離を縮めていくことが大切です。

また、まだ慣れていない犬に対して過剰にスキンシップを取ってしまうと、犬が触られることに不快感を覚え、パニックになって歯をむいたり咬んだりすることがあります。注意しましょう。

落ち着いた態度で接する

家庭に迎えたばかりのときは、犬も緊張しています。犬が気になっても騒がず、落ち着いた態度で接しましょう。

また、犬にとっては言葉や声だけでなく、視線もコミュニケーションのひとつです。家族みんなでじろじろ見つめないで、逆に犬が家族を観察できるようにしてあげましょう。

一貫性のあるしつけをする

一貫性のあるしつけと、決まった言葉でのコミュニケーションが信頼関係をつくるきっかけになります。

今までしつけを受けずに家に来たばかりの犬には、最初は「ヨシ」も「ダメ」もわかりません。
犬の好ましい行動を「ヨシ」の言葉と結び付け、積極的にほめながら交流することで、信頼関係ができやすくなります。

一方、してほしくない行動に「ダメ」の言葉を結び付けるときは、感情を荒げず、淡々と対応することが大切です。
叩いたり怒鳴ったり、脅かすような態度は犬の不安感をあおってしまいますので、ダメなことを伝えるときも穏やかにおこなってください。

低い姿勢で、斜めから接する

犬は大きな相手に対して、怖いと感じやすい動物です。

コミュニケーションをとるときは必ずしゃがんで、正面からではなくお互いに斜めになる位置から接すると、犬の不安を軽減することができます。
はじめて接する犬に対しては、真っすぐに向かって行かず、犬の視界に入り斜めからゆっくりと近づき、犬にこちらを観察する時間を与えてあげましょう。

また、手は犬の頭の上から出さないようにし、手の動きが見えるように、下から静かに出して動かすのがいいでしょう。

犬の愛情表現とは?

笑顔の犬

しっぽを振る

犬の感情表現でもっともわかりやすいのが、しっぽの動きです。
おずおずと迷うようにゆっくりと振る~興奮してしっぽの勢いにつられてお尻まで振るなど、ほとんどの場合でポジティブなよろこびを表現します。

おなかを見せる

犬がおなかを見せるのは、相手に対して敵意がない、攻撃的な意思がないことを表現しています。

ただし、見せているおなかを過剰に触ったり、触り方が悪かったりすると、犬が怒り出すこともありますので、注意が必要です。
おなかを見せるのは「降参のポーズ」ともいわれているように「これ以上、責めないで」という意思表示の場合もあるからです。

一方、「おなかを触ってほしくて丸出しにする」子もいますので、飼い主としては混乱してしまいますよね。
おなかを触るときはその子の様子をよく観察して、十分に慣れていないうちは早めに切り上げましょう。

手や顔などを舐めてくる

犬が人やほかの動物を舐めるのは、おいしいものが付着しているのでなければ、純粋に愛情表現といってよいでしょう。

気をつけたいのが、口の周りやマズルの先の方を舐めること。
子犬が空腹を訴えるとき、母犬の口の周りを舐め、母犬は食べたものを吐き戻して子犬に与えることがあります。
子犬が人の顔に同じことをするときは、空腹のアピールかもしれません。

ちなみに、成犬同士でこの舐め方をしつこくされると、舐められたほうの犬が怒り出すことも。
人が面白がって成犬に同じことをすると咬まれる場合もあるので、すべきではありません。

甘噛みする

犬が人やほかの犬を、毛づくろいするかのように、前歯で小さくカミカミと噛むことがあります。
また、大きな口を開けてくわえるように歯を当て、力を入れずにやさしく噛む場合も。

これは「もっと構って!」「遊ぼうよ!」という気持ちがこもっており、子犬のころによくみられる愛情表現です。

しかし、遊び半分で少し力を入れて、相手を挑発し遊びに誘うことがあります。このときは噛む力がエスカレートしないよう注意し、強く噛んだときは叱ることが大切です。

飼い主の私物を隠す

犬は、特に飼い主のにおいのついた私物を、サークルなどの自分の居場所やソファのすき間などに隠すことがあります。
意地悪をして楽しんでいるのではなく、あとでじっくりと自分の手元で、においや感触を楽しみたいと思っているようです。

じーっと見つめる

犬が飼い主をじーっと見つめているとき、アイコンタクトを求めているときは、かまってほしい、コミュニケーションをとりたいと思っていることが多いようです。

散歩中にアイコンタクトしながら動かなくなったときは「これ以上進みたくない、歩きたくない」「別の道を歩きたい」「帰りたくない」「においとりをさせてほしい」などの願いがこもっている可能性があります。

無理に歩かせるのではなく、愛犬の気持ちをくみとってコミュニケーションをとり、納得させてあげたいですね。

飼い主のそばに寄り添う

犬は信頼する相手に背中やお尻を向けた姿勢で、ゆったりと寝そべって寄り添うことがあります。
背中を向けられると「もしかして、嫌われてる?」と思ってしまうかもしれませんが、実はその逆です。飼い主を信頼しているからこそ、背中を向けてくつろいでいるのです。

飼い主に飛びつく

「お手」のコマンドもかけていないのに、お座りして片手をあげ飼い主に触れてみたり、両手を上げて立ち上がり飼い主に飛びついたりすることがあります。
かまってほしい、遊んでほしいときに見られる行動です。

飼い主に向かって吠える

飼い主の前にきて訴えるように吠えることがあります。
これには「気付いて!」「無視しないで!」などの気持ちがこもっていて、犬からのコミュニケーションを飼い主が気付かずに無視してしまった直後などにすることが多い行動です。

時にはわざわざおもちゃなどをもってきて、吠えることもあります。

まとめ

犬と向かい合う人

今回は犬が懐いてくれない理由や、犬と仲良くなるための接し方、犬の感情表現について紹介しました。
犬と仲良くなるためのさまざまな知識や接し方を踏まえたうえで、もっとも大切なことは犬に無理強いをしないこと。目の前の犬は何をされたら嫌なのか、どうしてほしいと思っているのかをくみ取って、落ち着いて接することで、犬からの信頼を得ることができるでしょう。
そうして時間をかけて信頼関係を積み重ねることで、犬は少しずつ心を開き、懐いてくれるのです。