犬の多頭飼いの魅力

多頭飼いの犬

まずは多頭飼いのメリットと魅力に迫ってみます。

犬の社会性が身に付く

犬同士が遊ぶことによって、甘噛みの強さやコミュニケーションの取り方などを学ぶことができます。
あとからやってくる犬は先住犬のマネをして、新しい生活のルールを覚えます。
また、先住犬も自分のテリトリー内にやってきた後輩犬と接することで、ほかの犬との関わり方など、犬同士で必要な社会性を身に付けることができるでしょう。

さびしさが半減する

留守時間のある家庭であれば、多頭飼いにより犬がさびしい思いをしないですむというメリットがあります。
飼い主さんも、いつもひとりぼっちで留守番をさせてしまっているという罪悪感が少し解消され、気持ちがラクになるかもしれません。

遊び相手になる

飼い主さんが忙しくかまってあげられないときでも、犬同士で遊んでくれることで、ストレスをためにくいといえます。
ドッグランなどのお出かけも多頭飼いであればより楽しく、飼い主さんだけが遊び相手よりもいい運動になるでしょう。

多頭飼いに向いていない先住犬のタイプ

多頭飼いはとても魅力的ですが、先住犬の性格と犬同士の相性、この二つをきちんと見極めないと、うまくいかず後悔することになる可能性があります。
もともと多頭飼いに向いていない犬もいますので、愛犬はどのタイプに当てはまるのか考えてみましょう。

過去にほかの犬とトラブルになったことがある

ほかの犬とトラブルになった過去がある場合、多頭飼いには向いていない可能性が高いです。
犬とトラブルになりやすい子は、そもそも犬同士のコミュニケーションが得意ではない子が多いです。また、過去の経験がトラウマになっている子も少なくありません。

体格差が大きい

たとえば先住犬が大型犬、2頭目に検討している犬が超小型犬といったように、体格差があまりに大きい場合は慎重にならなくてはなりません。
先住犬が温厚で面倒見のよい性格であっても、あまりに体格差があると、体の小さい犬がケガをしてしまう可能性があるためです。

攻撃的な性格をしている

何か嫌なことがあったときに、威嚇よりも先に攻撃をしてしまうタイプの犬の場合、多頭飼いは難しいでしょう。
散歩のとき、遠くに犬を見つけただけで吠えたり、すれ違うときには飛びかかろうとしたりと、犬に対して過剰反応をしてしまう子も要注意です。

闘犬気質が強い

ピットブル、ボクサーなど、闘犬に使われていた歴史のある犬種のなかには、家庭犬として改良された今でも闘犬気質が強く表れる子がいます。
ただし、個体差があり、大変穏やかな子もそうでない子もいますので、しっかりと見極めることが重要です。

保護犬の場合は慎重に

保護犬の場合は過去にトラウマを抱えていることもあるため、新しい飼い主さんとの信頼関係の構築が最優先課題となり、多頭飼いが難しい場合があります。
反対に、保護犬だからこそ、犬同士の関係が犬のメンタル面を支えてくれるというケースもあります。
どちらの場合も、保護犬への影響は非常に大きいので、慎重に検討しましょう。

先住犬が元保護犬の場合

先住犬が保護犬の場合、その子の性格と、飼い主さんとの関係性が大きな決め手となります。
おうちに迎えられて日が浅い先住犬と、元保護犬だったとは思えないほどもうすっかりおうちに馴染んでくれている先住犬とでは、後輩犬への対応は大きく異なるはずです。
ドッグランなどで他の犬とのかかわり方を見てみるという方法もおすすめです。

2頭目の犬が保護犬の場合

保護犬のなかには、預かりさんなどを通して多頭飼育に向いているかいないか、事前にはっきりとわかる子もいます。
預かりさん宅にいる先輩犬が指導役となり、まさに今多頭飼育で暮らしているという子もいるでしょう。
もし2頭目に検討している犬が保護犬の場合、2頭目になることを申告し、ほかの犬とのかかわり方などを尋ねてみましょう。
多くのところが相性確認のための顔合わせの機会を設定してくれるはずです。
反対に、1頭での飼育が条件の場合もあります。必ず問い合わせ前に詳細事項を確認しましょう。

多頭飼いに向いている組み合わせ

ここで多頭飼いに向いている「相性のよい犬の組み合わせ」を紹介します。
たいていの場合うまくいくといわれている、相性の良い組み合わせです。しかしあくまでも一例であり、当てはまらない組み合わせでも非常にうまくいくケース、当てはまる組み合わせなのにうまくいかないというケースもあります。
どのような場合でも最終的にはそれぞれの犬の性格がキーポイントです。この組み合わせをヒントに、愛犬と相性のよい犬のことを理解しましょう。

子犬×子犬

月齢が近い子犬同士の場合は性別関係なく、遊び相手になります。
きょうだい犬でなくても、また、同時に迎えられたわけではなくても、適応力に優れている子犬たちは自然と仲良くなれることが多いです。

異性同士(避妊・去勢済み)

同性同士、とくに「オス×オス」の場合は、縄張り争いのような小競り合いが起こることがあります。
反対に、異性同士になると、必ず避妊去勢はしなければなりませんが、うまくいくケースが多く聞かれます。
ケンカっぱやい男の子も、シニア女子だけには吠えない、というようなエピソードも多くあります。

体格が同じくらい

同じくらいの体格同士であれば遊ぶときの力加減がしやすく、よい遊び相手になり、多頭飼いもうまくいくケースが多いといわれています。
おもちゃの引っ張りっこやじゃれ合いなど、ほほえましいい姿が見られる可能性の高い組み合わせです。

多頭飼いをはじめる前に

多頭飼いをはじめる前には、愛犬の性格、犬同士の相性などのほかにも、慎重に検討しなければならないことがあります。
仮に犬同士の相性がよかったとしても、それらはすべてクリアしなければ多頭飼いは困難だと考えなければならない、重要な条件ともいえます。

飼育スペース

十分な飼育スペースを確保できるか確認しましょう。
1頭から2頭になるのであれば、単純に倍、先住犬と同じだけの飼育スペースをもう一つ確保しなければなりません。
ケージや寝床は1頭ずつ必要となります。
トイレ場所は留守番時間の長さや犬の性格によって、場所を増やすかスペースを広げるか考えましょう。

マンションなど集合住宅の場合は、飼育できる頭数やエレベーターの使用制限など、多頭飼いについての規約をあらためて調べてみましょう。

経済的余裕があるか

犬がもう1頭増えるということは、食事や医療費などがこれまでの倍かかるということです。
細かなところでは毎日の消耗品ペットシーツから、ワクチン代、トリミング代、遊びに行けば施設使用料など、これまでの倍額が必要になります。
もし2頭が病気になったとき、シニアになったときに治療できる余裕があるのか、しっかり確認しておきましょう。

相性が悪かったときの対応

初対面では何の問題もなくても、その後、折り合いが悪くなる可能性はゼロではありません。
先住犬との相性が悪くなったときの対応を決めておきましょう。たとえば1階と2階で飼育スペースをわける、といった対応などです。

また、検討している犬が保護団体などからの譲受の場合には、トライアル期間が設けられているところも多くあります。
トライアル中に気になったことがあれば報告しましょう。また、トライアル後のことであっても、まずは団体や預かりさんに相談することをおすすめします。

多頭飼いを成功させるためのポイント

しつけの見直し

新入りの犬は、先住犬の様子をみてマネをしながら、飼い主さんとの関わりあい方や家のルールなどを覚えていきます。そのため2頭目は比較的しつけがラクになるといわれています。
それは同時に、後輩犬が先住犬のいいところだけでなく、吠えやいたずらなどもマネしてしまう可能性があるということです。
もし、現在愛犬に直してもらいたいと思っていることがあるなら、2頭目を迎える前に解決しておくことをおすすめします。

会わせ方、初対面のときのポイント

ケージ越しに対面

新入りの犬をケージに入れて、まずはケージ越しに対面させます。
この際、先住犬のペースに合わせることが重要です。できれば初対面場所も先住犬が有利な場所に設定するのが望ましいです。
もし、どちらかでも興奮してヒートアップするようであれば、すぐに引き離しクールダウンさせましょう。

ケージから出す

先住犬も新入りの犬も、お互いに同じ空間にいることに慣れた様子が見られたら、新入りの犬をケージから出します。数分間自由に過ごさせて、様子をみましょう。
相手にお尻を向けたり、おしっこをしたりしたら、それはにおいを嗅いでもらおうという挨拶行動です。見守りましょう。
基本的に犬は平和を好む動物で、いきなり噛みつくなどというトラブルの発生率は極めて低いです。しかし、念のためどちらにもリードを装着し、すぐに引き離せるようにしておくと安心です。

常に先住犬を最優先

ごはんをあげる順番、抱っこ、撫でるなど、すべてのことを先住犬優先でおこないましょう。
これまで飼い主さんをひとりじめしていた先住犬のやきもち防止のためにも、新入りの犬に家庭での優先度を理解してもらうためにも、徹底しておこなうべき大切なことです。

まとめ

今回は犬の多頭飼いの魅力や注意点などについて紹介しました。
犬の多頭飼いは、飼い主さんの経済的ゆとりがあること、犬同士の相性が合うことが、重要なポイントです。
お迎えの際には、しっかりシミュレーションと準備ができていれば、予想以上に幸せで楽しい多頭飼い暮らしが待っているでしょう。