里親になるための条件

保護犬や保護猫を引き取り、里親になるために必要な条件はケースによりさまざまです。ここでは、一般的な保護団体、保健所、動物愛護センターからお迎えするための事例をご紹介します。

保護団体の場合

一般的な保護団体の場合、飼い主の経済状況や居住環境、年齢、家族構成、また飼い主としての責任感を持っているかどうかが問われます。

経済的・時間的に余裕のある方

ペットを飼うには、少なからずお金や時間が必要です。自分たちの生活でいっぱいいっぱいとなり、飼育放棄しないためにも大切な条件です。

ペット飼育可能な住居(一戸建て・ペット可マンションなど)にお住まいの方

そもそも現在の住まいで動物を飼えるかどうかが問われます。ペット飼育不可の住居に住んでいる場合は、里親になることはできません。

未成年・高齢ではない方(場合による)

子犬・子猫を引き取った場合、終生ともに過ごすとなると、60歳以上の方はお断りされるケースがあります。また経済的に自立していない未成年者もお断りされるケースがあります。

一人暮らし・結婚の予定がない未婚カップルではない方(場合による)

自分以外にお世話が出来る家族がいない場合、里親の条件から外れることがあります。
また未婚カップルの場合、残念ながら別れたときに犬猫の飼育責任を押し付けあうケースが見られるため、お断りされるケースがあります。

家族全員がペットを迎えることを賛成している方

ペットの飼育は家族の協力があってこそ。家族のなかで一人でも反対する方がいるケースでは、「引き取ったけれど結局うまくいかなかった」という事態を招くことがあります。

適切なタイミングでの去勢・避妊手術、ワクチン接種をお約束できる方

不幸な動物をこれ以上増やさないためにも、去勢・避妊手術は必要条件です。また動物の健康を守るためのワクチン接種も求められます。

事前の自宅訪問が可能な方

里親になるための飼育環境をチェックするため、保護団体のスタッフによる家庭訪問があります。自宅訪問の対応が難しい場合、里親の条件から外れる可能性があります。

完全室内飼育をお約束できる方

動物の健康と安全を守るための条件です。犬は室内で育ててくれる方(玄関等は室内に含みません)、猫は病気(猫エイズ・白血病など)や交通事故のリスクから猫を守るために完全室内飼いを約束してくださる方が望ましいです。

終生飼養をお約束できる方

何があっても最期までお世話ができるかどうか。新たな飼い主としての責任を問われます。生涯家族の一員として、責任と愛情を持ってくださることが条件となっています。

お迎え後に定期的な報告が可能な方

保護団体では譲渡した動物が適切に飼育されているかの定期チェックを行っています。保護犬・保護猫の飼い主としてきちんと応じる必要があります。

上記のような条件以外に、保護団体によっては職業や年収を確認しているケースもあります。細かい条件は保護団体により多少異なりますので、必ず確認しておきましょう。

保健所・動物愛護センターの場合

「東京都動物愛護相談センター」の場合、年齢(20歳以上60歳以下)や、家族の協力、経済的・時間的な余裕、居住環境や繁殖制限措置といった基本的な条件は変わりありません。加えて、以下のような項目が定められています。

現在、犬や猫を飼育していない方

先住犬や猫との相性が悪く、再び保健所に戻されるようなケースが起こるためです。また、多頭飼いによって経済的・時間的な負担が大きくなり、かえって不幸な動物を増やすことが懸念されています。

センター主催の譲渡事前譲渡会を受講している方

東京都の場合、定期的に「譲渡事前講習会」が開かれています。適切な飼育方法や飼い主としての心構え、ペットの飼育に関する法令などを学びます。

東京都動物愛護相談センターから譲渡を受けるには(譲渡対象動物一覧)

どうして厳しい条件なの?

これらの条件を見て、「厳しすぎ!」と感じる方も少なくないでしょう。その理由には、保護犬・保護猫たちが保護された背景が関係しています。

保護された動物たちは、本来であれば、飼い主のもとで幸せに暮らすはずだったのに、何かしらの理由で一度捨てられた子が多いです。つらい別れを経験した犬や猫たちに二度と不幸な思いをさせないためにも、厳しいルールが定められているのです。

里親になるメリット

前述の通り、里親になる条件は厳しいですが、メリットもあります。

相性を確認できる

里親として譲渡を受ける場合、トライアル期間を設けることがほとんどのため、家族や先住ペットとの相性を確認してから、お迎えすることができます。

成犬・成猫を迎えられる

成犬・成猫は性格がある程度わかっているため、自分に合った保護犬・保護猫を迎えることができます。
また、犬猫の寿命を考えたときに、自分の高齢化が心配だという方は、子犬・子猫よりも成犬・成猫の方が迎えやすいでしょう。
ただすでに高齢者のみの家族の場合、施設によってはお迎えできないこともありますので、譲渡条件を確認してみてください。

初期費用が抑えられる

医療費などの諸経費はかかることもありますが、生体の購入費用はないため、グッズ購入などのお迎え準備にあてることができます。お迎え後は予想外の出費がかかることもあるので、初期費用が抑えられるのはうれしいですね。

家族のいない犬や猫を救える

保護施設に収容されている保護犬、保護猫たちは、一定期間のうちに里親が見つからない場合、殺処分されてしまう可能性が高いです。
里親になることで、行き場のない犬や猫の命を救うことができます。

まとめ

犬猫の里親になるための条件について解説しました。年齢や住まい、経済状況やお世話に使える時間など、厳しいと思われるルールが敷かれていますが、これらはすべて「保護犬・保護猫たちを引き取り、最期まで責任を持って飼育できるか」ということにつながっています。


また記事でも説明したとおり、条件は地域や団体によりさまざまです。里親に興味のある方は、ぜひお近くで活動している保護団体、または保健所や動物愛護センターのWebサイトをチェックしてみてくださいね。