犬・猫のトライアルとは?
「トライアル」とは、里親募集されている保護犬・保護猫との相性を見るために、一緒に暮らしてみる期間のことです。トライアル期間は、短いところでは1週間、長いところでは1ヶ月程を設定しているところもあり、トライアル期間中に、希望した犬・猫と、これから先ずっと共に暮らしていけるのかを判断します。
「トライアル」という言葉に不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、先住犬・先住猫がいなければそれほど難しいことではありません。トライアル前にお見合いや飼育環境のチェックを設けている団体も多いので、トライアルが決まった時点で、お互いに「きっと大丈夫」という思いの下でのトライアル開始となるでしょう。
保護団体側は、トライアル先からの定期報告を見ながら、譲渡が可能かどうかを見極めます。
トライアル期間中になんらかの理由で「飼えない」「譲渡できない」と判断した場合は中止となり、保護犬・保護猫は保護団体の元に帰ります。
トライアル期間終了後、お互いの認識が合致すれば正式譲渡の運びとなります。
トライアルが必要な理由は?
『何故トライアルが必要なのか?』を考えてみましょう。
トライアルが必要な理由とは、ずばり、正式譲渡後のトラブルを避けるためです。
保護犬・保護猫を実際にお迎えしたものの、思っていた状況と違った、という事態にならないように、設定されています。
また、犬・猫の本性が出てくるのが2週間を過ぎるころと言われており、さまざまな判断はその子が自分を出せるようになってからでいいという考えもあります。
ここで、トライアルが中止になり、犬・猫が団体へ返還となる代表的な理由をあげてみます。
人の警戒心が強すぎる
人慣れをしていない・吠えがある・噛み癖があるなど、トライアル前に情報を聞いていても想像以上であったり、トライアル先のお家で悪化したするケースもあります。この場合は里親希望者からの相談がほとんどです。
先住ペットとの相性が悪い
先住犬・先住猫がいる場合は、トライアルよりさらに前の段階で、お見合いを設定している団体が多いです。
犬同士の多くはお見合いを1回することで相性の良し悪しが分かります。猫同士は事前のお見合いが難しいことや、時間をかけて環境に慣れてもらうことが基本になりますので、相性が悪くどうにもならないというのはトライアルが始まってから分かるというケースも少なくありません。
アレルギーを発症した
すべてがうまくいったとしても正式譲渡を断念せざるを得ないケースが、アレルギー問題です。
動物アレルギーの有無はトライアルを開始する前の段階で確認を行いますが、「以前飼っていた犬・猫は反応しなかったのに」と、新たな保護犬・保護猫がやってきて、突然、症状が出ることもあるのです。
アレルギーの疑いがある症状が発症した場合は、速やかに病院で検査を受け、保護団体に相談してください。
このようにトライアル中止になりえる理由は、実は動物遺棄や飼育継続困難として相談を受ける際に聞く理由と共通しているのです。
トライアル中止や出戻りはできる限り避けたいものの、どうしても断念しなければならない事態になった場合、無理や我慢はせず、保護団体に相談をしましょう。
トライアルに必要なもの
保護犬・保護猫が「ここで暮らしたい」と思えるような環境を提供してあげましょう。
具体的に必要なアイテムは、下記などが挙げられます。
トライアルに必要なもの
・フード
・食器
・トイレ用品
・ハーネス、首輪、リード(主に犬の場合)
・ケージ、サークル
・クレート、キャリーバッグ
・ベッド
トライアルといえども、飼養グッズはひととおり揃え、準備をしておく必要があります。
しかし、犬・猫の飼育が初めての方や、以前飼っていたもののグッズの買い直しが必要な方、多頭飼いで新たにグッズを追加しなければならない方などもいるでしょう。
ケースバイケースになりますが、ケージなどの大きいグッズ、高価なグッズなどは、譲渡が決定するまで貸し出しを行っている団体もあります。相談してみましょう。
また、その子に合うもの、合わないものもありますので、迷ったときには購入する前に保護団体にアドバイスをもらうことをおすすめします。
先住ペットとの対面方法
トライアルで苦労しがちなのは、先住ペットを飼っている場合です。
里親希望のお問い合わせを行ってからトライアルが始まるまで、保護団体とは何度もやりとりをすることになるので、譲渡予定の犬・猫の性格についてはしっかり教えてもらいましょう。
最近は、犬同士・猫同士だけでなく、犬×猫の多頭飼いを希望する方もいらっしゃいます。
保護団体もさまざまなパターンでの譲渡経験を持っています。初対面の際は団体の指示を仰ぎながら、ひとつひとつ丁寧にすすめていきましょう。
先住犬の場合
犬×犬の場合
保護犬の場合は、トライアル開始日とは別日に顔合わせを提案されることが多いので、ぜひ利用しましょう。
初対面のときは、お互いにリードをつないだ状態で対面させてください。
犬同士の場合、可能であれば、待ち合わせ場所は外で行い、その場での対面を済ませてから先住犬のテリトリーとなるおうちへ招き入れるのがベストです。
犬×猫の場合
保護猫と初めて対面させるときは、先住犬にリードを付けた状態で対面させてください。
保護猫が怯えたり威嚇したりするようなら、無理強いはしないようにしましょう。
保護猫がすぐ逃げられるよう、ケージはそばに置いておくこと、先住犬が入ってこない逃げ場所(部屋)を用意することなど、猫の安全・安心を確保します。
先住猫の場合
猫×猫の場合
猫同士の初対面は、ケージに布をかけて、ケージ越しで行うのがベストです。すぐに引き合わせを行うことはせず、まずはお互いの存在や匂いを認識させます。
しばらくの間はケージの中に保護猫を隔離しておき、先住猫の方を徐々に近づけるようにします。
ケージの中にも段ボール箱を入れるなど、隠れる場所を作ってあげるとよいでしょう。
猫×犬の場合
先住猫がいる家庭に保護犬を迎え入れる場合は、犬にリードをつないだ状態で対面させます
保護犬が立ち入らないよう、先住猫のスペースや逃げ場所を必ず確保しましょう。
猫は環境の変化でストレスになる子が多いため、猫にとって快適な環境を提供できるかが大きなポイントとなりそうです。
まとめ
保護犬・保護猫のトライアルは、正式譲渡後のトラブルを避けるために実施されています。保護団体によってトライアルまでの流れや条件などは異なりますので、実施前には必ず確認をしておきましょう。
またトライアル成功の秘訣は、犬・猫を保護している団体との信頼関係を構築できるかどうかが大きく影響します。
団体の活動や方針に共感し、納得できていなければ何事も難しいでしょう。気軽に質問や相談ができるかも重要です。
トライアル中は、保護犬・保護猫のことを最優先に、気になることがあればその都度アドバイスを受けるようにしましょう。