保護犬・保護猫とは?

保健所や動物愛護センターで管理している、または保護団体や一般の方が一時的に飼育している犬や猫のことを指します。保護犬・保護猫の月齢は幅広く、犬種や猫種もさまざまです。
保健所や愛護センターなどに収容される頭数は年々減っていますが、ゼロになるのはまだ先であると言えるでしょう。直近のデータでは、犬の引き取り数が約3万5千頭、猫が5万6千頭です。このうち約2万頭が処分されているという厳しい現状もあります。

保健所や動物愛護センターなどの行政機関は全国各地に存在し、地域によっては保護団体が譲渡活動を行っている場合もありますので、日本国内であれば何かしらの手段で保護犬・猫たちに出会うことができるでしょう。

どんな理由で保護される?

統計データによると、所有者不明で保護される数は、飼い主の手により直接保護施設に持ち込まれる数の約10倍から20倍ほどです。

保護犬・猫たちは、それぞれ何らかの理由を抱えながら次の飼い主を待ちわびています。

一般家庭からの保護

もともとはペットとして飼われていたものの、飼い主側の理由で保護されるケースです。飼えなくなってしまう理由は、家庭によりさまざまです。飼い主の急病や急死などやむを得ない場合もありますが、身勝手な理由もゼロではありません。

経済的な問題

15年前後にわたりペットを飼うためには、少なからずお金が必要です。思っていたより飼育費用がかかり困窮してしまった、犬猫が病気になって医療費を捻出しきれなくなったなどの理由が挙げられます。
また、去勢・避妊手術をしないまま飼育することで、一頭、また一頭と数が増え続け、「多頭崩壊」まで至ってしまったケースなどもあります。

時間的な問題によるもの

飼い主の仕事が急に忙しくなったり、親の介護が必要になったりすることで、犬猫のお世話時間が確保できなくなり、飼育が難しくなるケースです。

身体的な問題によるもの

飼い主が高齢になりお世話する体力がなくなった、もしくは病気になったことでペットのお世話に手が回らなくなるケースです。
また、自身や家族、子どもなどがアレルギーを発症してしまい、動物と一緒に暮らせなくなるような場合も当てはまります。

住まいの問題によるもの

犬猫と暮らすためには、相応の居住環境が必要です。特に賃貸物件に住んでいる場合、引っ越し先でペットが飼える物件が見つからないという事態も考えられます。ペット不可の住まいでこっそり犬猫を飼ったとしても、鳴き声などが原因で発覚してしまうことも少なくありません。

ライフステージの変化によるもの

独身時代からペットを飼っていたが結婚相手に受け入れてもらえなかった、生まれてきた子どもとペットの相性が悪かったなどの理由により、犬猫を手放すケースもあります。

ブリーダーやペットショップからの保護

一般家庭以外では、犬猫の繁殖や販売を行うブリーダーやペットショップ経由で保護されるパターンがあります。プロとして動物を扱っているところから保護施設に持ち込まれるのは、非常に無責任で残念としか言いようがない事実です。

資金的な問題

売れ残りになってしまった犬猫が保護されるケースです。
また、繁殖引退犬(猫)はブリーダーのもとで飼い続けられるのが理想ですが、事情があって飼えなくなり、保護犬・保護猫になってしまうことがあります。

管理の問題

計画の甘さから、さばききれないほど繁殖してしまった、売れ残りが増えてしまったという事情で動物が保護されるケースです。
自分のもとで管理ができなくなり、お世話をするのも、誰かに譲り渡すこともできず、保護施設を頼るという悲惨な構図が見られます。

地域からの保護

所有者不明として保護される「野良犬」や「野良猫」です。糞尿による被害や病気の蔓延、人や他の動物に危害を与える可能性があることなどから、近所の人からの通報により保護される場合があります。放置すれば繁殖し、さらに数が増えるので、一斉に保護されることが多いようです。
猫の場合、生まれたばかりの子猫たちがまとめて保護されるケースも少なくありません。

保護犬・保護猫の特徴

さまざまな理由で飼い主を失ってしまった動物たち。ブリーダーやペットショップからお迎えする子たちとは違いがあるのでしょうか。

さまざまな犬種・猫種、年齢の子がいる

保護施設や団体に引き取られる犬猫は“雑種ばかり”と思われがちですが、実はそれは間違いです。先ほども説明した通り、保健所にいる犬猫は、一般家庭やブリーダーのもとから保護されているケースも少なくありません。そのため、なかには血統書付きの個体や、生まれて間もない子犬・子猫も存在するのです。

月齢が低い純血種の個体は、比較的早めに里親が見つかることが多いです。しかし、歳をとっていても「仕事の事情などで子犬や子猫から飼うのは難しいけれど、成犬・成猫であれば飼える」という人に引き取られる場合もあります。

病気やケガをしている子も少なくない

不幸なことに、犬猫の病気やケガを理由に飼い主から飼育放棄されるケースもあります。保護犬や保護猫猫を引き取ることきは、何らかの健康リスクの可能性があることを十分考慮しなくてはなりません。

人間に対して恐怖心を持っている子も多い

元の飼い主から愛情を注いでもらえてなかったり、最悪の場合虐待されたりしていた保護犬・保護猫もいます。また、野良として保護された犬猫は、もともと人慣れしていない場合もあるのです。

人に対して心を閉ざしてしまっている動物と打ち解けるには、根気強いお世話や信頼関係を作るためのトレーニングが必要になります。決して平坦な道ではないことを理解しておきましょう。

保護犬・保護猫たちにできること

ここまで、犬や猫が「保護犬・保護猫」になってしまう理由や、保護犬・保護猫の特徴を説明しました。残念ながら、保護犬・保護猫を生み出すのは、人間の身勝手な理由がほとんど。私たちの心に寄り添い、癒してくれるペットたちを不幸にしてしまうのは、とても心苦しいことですね。
「新たな飼い主になりたい」と思ったときは、自分が犬猫たちに二度と悲しい思いをさせないよう最期まで責任を持てるのか、じっくり考えましょう。何らかの事情でお世話できなくなるようなことはないか、万が一のときにペットを託せる人はいるのか、そもそも里親になるための条件を満たしているか……。よくよく考えたうえで決断してください。
保護犬・保護猫を迎えることは、尊い命を救うことにつながります。新しい家族を迎えるときは、ペットショップの犬猫だけでなく、保護犬・保護猫にも目を向けてみてくださいね。

まとめ

保護犬や保護猫の基礎知識について解説しました。彼・彼女らが保護される理由をつくってしまうのは人間の身勝手さ。しかし、そんな動物たちを救えるのも私たち人間なのかもしれません。
ペット産業が成熟した現代においても、不幸な運命をたどる動物は後を絶たず、譲渡先の募集もさかんに行われています。最近では、Webで里親を探すマッチングサイトでの募集も増えてきています。
保護犬や猫たちを探したいとお考えの方は、ぜひチェックしてみてくださいね。