はちねことは

はちねこさんは一般市民がボランティアとして集まって運営しています。
飼い主のいない猫の問題は地域の問題と捉え、東京都八王子市でTNRM活動や保護、譲渡活動を行っています。

※T=Trap(捕獲)、N=Nauter(不妊手術)、R=Return(元の場所に戻す)、M=Management(地域での管理)の略称。子猫が増えないように猫を支える活動のこと。

今回お話をお伺いしたのは?

今回は代表の小林さん(はちねこカフェ店長:みけおさん)と、ボランティアスタッフの落合さん(はちねこアニコム会場宣伝部長:ブルーノさんの飼い主さん)にお話を伺いました。
実は、落合さんは当団体から2頭の猫を引き取っている里親さん。落合さんのように里親さんや市民ボランティアさんなど、様々なご縁が重なり、TNRM活動や市民ボランティアを行っている方が多いのが、はちねこさんの魅力です。

①活動を始めたきっかけ

はちねこさんの活動を始めたきっかけは、「猫の迷惑行動」でした。
元々代表の小林さんは八王子市内の駅前で月極駐車場を運営。そこに野良猫が入り込み、おしっこやケンカなどの迷惑行為に困り果てていたそうです。
そこで頼りにしたのが動物病院。獣医師の先生が野良猫の避妊去勢手術に積極的で、ボランティア活動として出入りされている方が多くいらっしゃったため、野良猫の避妊去勢手術を広めていこう!と意気投合し、そのためには活動拠点が欲しい、ということもあり、「はちねこ」を立ち上げました。

②猫ちゃんたちはどこから来るの?

主に八王子市の保健所からの要請やTNR活動を通じて仲間に加わります。また多頭飼育崩壊などで飼い主さんから直接連絡が来ることもあるそうです。特に、昨今からのコロナ禍で初めて猫を飼い始めたけれど、「こんなはずじゃなかった」と残念ながら手放してしまう事例も増えているとのこと。「こんなはずじゃなかった」とは、具体的に猫の性格によるものも大きいそうですが、こんな事例が多いそうです。

猫を手放してしまう理由

・噛んでしまう癖が治らない
・天井まで上ってしまう
・おうちの壁でガリガリ、爪とぎをしてしまう
・トイレをこまめに掃除する必要がある

③どんな猫ちゃんがいるの?

はちねこさんでは、特に猫の性格や年齢、病気などで預かる子の条件を絞っていません。そのため今までも、「FIP(猫伝染性腹膜炎)にかかり治療中の子」「腫瘍がある子」「扁平上皮がんの子」「外傷がある子」など、様々な子を引き受けてきました。そのなかには肺気腫のため、何十万円と治療費がかかって、それでも3~4日で亡くなってしまった子もいるそうです。

それでも代表の小林さんは、「助からないとわかっても引き受ける」と言います。さらには「医療費は惜しまない」とも。ボランティア活動で行っているため、決して資金が潤沢にあるわけではなく、古本市やイベント等でチャリティグッズを販売しながら、猫ちゃんたちに最善の処置を施したいと思っています。
こうした考えの背景には「一緒に取り組んできた信頼できる、そして助からない野良猫でも引き受けてくれる動物病院があるから」と言います。

はちねこさんの活動は、支えてくれるボランティアさんやお客さん、そして近隣の動物病院の獣医師の先生方の支えがあってこそ、ということを改めて実感させる一言でした。

④活動の拠点は?

東京都八王子市の高尾駅南口から徒歩5分のところにある「はちねこ」が活動拠点です。毎週水曜日・土曜日・日曜日・祝日の13:30~17:00に営業しておりますが、現在はコロナ禍の影響もあり、完全予約制にしています。※2021年6月10日時点

➄里親希望者の方にお願いしたいこと

「この子たちを最期まで可愛がってくれる人」「猫に寄り添ってくれる人」と代表の小林さん。また落合さんも「『ペット』ではなくて『家族』として受け入れてくれる人」と猫を幸せにしてくれる人を望んでいます。

そんなはちねこさんにこんなことを聞いてみました。
「1人暮らしの方はどうですか?」に対しては、「1人暮らしの方でも、はちねこがフォローできる方なら問題ありません」とのこと。
また「ご高齢の方などの年齢制限はありますか?」に対しては、「後見人の方などが、同居されているということであれば、問題ありません。猫ちゃんにとっては環境が変わることが一番のストレスにつながるので、最期まで環境を変えずに可愛がってくれるおうちであれば、それだけで十分です」とのこと。
どこまでも猫ちゃんに優しい、はちねこさんとのお話でそう実感しました。

譲渡をする猫ちゃんの一生を考えて、とことん付き合うはちねこさん。小林さんと落合さんは、「猫を里親に出すときは、本当に神経をすり減らします。だから八王子市内の野良猫が少しずつ減ってくれると嬉しい」と。

その日が来るまで、今日もはちねこさんは朝早くから夜遅くまで、猫たちのために八王子市内を駆け回っています。

⑥譲渡までの流れ

はちねこさんで里親募集をしている猫たちは、はちねこさんのホームページやSNS、hugUに掲載されています。正式譲渡までの大まかな流れは以下の通りです。


  • STEP 1 気になる子を見つける

  • STEP 2 譲渡条件を確認する

    里親を募集するペットにより条件が異なります。詳しい情報はこちらよりご確認ください。
  • STEP 3 里親希望の応募をする

  • STEP 4 面会

    「飼育管理環境シート」をご用意いただきます。譲渡会会場で面談させていただきながら、ご希望の猫を決定いただきます。
  • STEP 5 お迎え準備

  • STEP 6 お届け

    当団体のスタッフがご自宅にお伺いします。
  • STEP 7 トライアル

    お届けの日から1~2週間トライアルを実施します。トライアル期間は猫によってさまざまなです。
  • STEP 8 正式譲渡

    トライアル期間を経て、双方合意の上、正式譲渡となります。

⑦活動に対する思いを教えていただきました!

「野良猫や外で暮らす猫が減ってほしい」と小林さん。最近多頭飼育崩壊が増えていることもあり、「ご自身でお世話が出来る頭数だけを大切にしてほしい」と言います。また落合さんも「『家族』としてお世話をしてほしい」とおっしゃっており、猫をとても大切に考えていらっしゃる様子がうかがえました。

ちなみに、飼える頭数は人それぞれのキャパシティによるそうです。1頭でも難しい方もいれば、5頭でもしっかりお世話が出来る方もいます。これは、努力の問題などではないとのことだったので、新しくご家族をお迎えいただく方は、ご自身が猫のお世話がしっかり出来るのか、よくよく考えてからお迎えしてください。

最後に、はちねこさんよりメッセージをいただきました。

「わんちゃん、猫ちゃんを飼いたいけれど飼えない方は、ご自宅の近くで活動するボランティア団体さんに相談するといいかもしれません。きっと何かご協力できることがあるはずです。」

はちねこさんは、ローカルファーストを意識しています。『地域の活性化を優先し、出来る限り八王子市で保護した子は八王子でおうちを見つけてあげたい』という想いのもと、地域の問題を解決しながら、住みやすいまちづくりを目指していきたいとおっしゃっております。