【保護活動者×獣医師】子猫に歯みがきグッズを使ってみました

前回の記事では、「猫の歯みがき」をテーマに、保護活動者「ねこひげハウス」の石川さんと、ライオン商事株式会社の獣医師・遠山先生の対談をお届けしました。

今回は実践編として「ねこひげハウス」にいる生後3カ月半の姉妹猫に、歯みがきグッズを使用してみます。2頭とも今回が歯みがきデビュー! さて、上手にできるのでしょうか。

ねこひげハウスとは

埼玉県八潮市で知人兄弟が長年に渡り集めてしまった猫約240頭と犬10頭のお世話をしてきたことをきっかけに保護活動を始めました。保護犬猫シェルターを運営しながら里親探しをはじめ、病気の猫の看病、看取り、毎日の掃除や管理などをおこなっています。

それから約10年が経ち、その間にねこちゃんたちも新しいご家族に迎えられたり、年を取ったりして、今は猫80頭、犬2頭と同じおうち(シェルター)で暮らしています。

ライオン商事株式会社とは

ライオン株式会社の子会社であるライオン商事株式会社は、ペット用品専業の会社で、オーラルケアフードと用品、トイレ関連用品、空間ケア用品、ボディケア用品などの製造販売をおこなっています。

歯みがきグッズにはどのようなものがあるの?

遠山先生:お口の健康維持のためには、歯みがきグッズを活用した飼い主さんからのオーラルケアが大切です。今は本当にさまざまな歯みがきグッズが販売されています。当社でも、歯みがきシート、歯みがきジェル、歯ブラシなど、さまざまなタイプの製品があります。

遠山先生:そんななかでも、やはり一番いいのは歯ブラシを使って物理的に汚れを取り除いてあげることです。ただ、最初から歯ブラシをお口に入れようとしても、ねこちゃんはお口が小さく難しいので、焦らず少しずつ慣れさせていってあげてください。

初めてのチャレンジ!

遠山先生:まずは、歯みがきグッズに興味を持ってもらうことが大切です。缶詰の汁や歯みがきジェルなど好きな匂いや味があるものを使って、ねこちゃんの気を引きましょう。歯みがきシートに匂いや味を付けても、いいかもしれません。歯みがきグッズを受け入れるきっかけになります。

石川さん:歯の内側が難しいですね。

遠山先生:ねこちゃんはお口が小さいですが、慣れてくれば歯の外側も内側も一緒に磨けるようにもなりますよ。でも、2頭ともとっても上手です! 初めてでここまでできるなら、歯ブラシにも挑戦できるかもしれません。

歯ブラシにもチャレンジ!

遠山先生指サック歯ブラシは、指にはめる形なので、とてもフィットして使いやすいです。指感覚でみがけるのでねこちゃんも受け入れやすいようです。

石川さん:初めて見ました!

遠山先生:当社には、ライオン株式会社出身の「歯ブラシの匠」がいて、この形状を考えてくれました。

遠山先生:最終的にはハンドルタイプの歯ブラシを目指したいです。お口の小さなねこちゃんにはヘッド部が小さい歯ブラシを選びます。

石川さん:歯ブラシだと、奥歯のブラシの向きが難しいですね。

遠山先生:歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当てることを意識してください。わんちゃんに比べて、ねこちゃんは奥歯がわんちゃんより少なく、慣れてくると実はわんちゃんよりも歯みがきは楽なんです。慣れてもらうためには、ねこちゃんが飽きてきたらすぐ終わりにすること。これは、大事です。また、歯ブラシへの警戒心をなくすためには、顔の周りの毛並みを歯ブラシでなでて慣れさせるということも方法のひとつです。

石川さん:ブラシの代わりに歯ブラシを使うことは、うちでもあります!

歯みがきグッズは何を使ったらいいの?

遠山先生ねこちゃんによっても好みが違います。今日の2頭は歯みがきシートも歯ブラシも使ってくれましたが、歯みがきシートがいい子、歯ブラシがいい子、それぞれ。ねこちゃんが好んで使ってくれるものを選んであげてください。また、どちらも受け付けない子には、歯みがきおやつがあります。こちらも活用するといいでしょう。

石川さん:うちでも、腎臓病ではない子や硬いものが苦手ではない子には、歯みがきおやつをあげています。ライオン商事株式会社さんの歯みがきおやつは嗜好性がいいですね。喜んで食べてくれる子が多い印象です。

遠山先生:味の好みもねこちゃんによって分かれますし、飽きやすい子もいます。いろいろな味を試してみてください。そして、もし歯みがきができない子には、長めの形状の歯みがきおやつを手で持ってあげることをおすすめします。

石川さん:それなら奥歯でしっかり噛ませられそうですね。短いタイプはどんなときに使用するのですか?

遠山先生おやつとしてちょっとあげたいときなどは、短いタイプがおすすめです。手のひらに乗せてあげたり、お皿に入れてあげても良いです。

さいごに

石川さん:シェルターには、すでにお口のトラブルを抱えていて、全抜歯をした猫たちも今まで何頭もいます。それでも猫たちは、ごはんはカリカリのドライフードを食べています。気を付けていることと言えば大きなおやつはほぐしてあげる、くらいでしょうか。お口のケアは飼い主さんが気にしてあげ、いくつになっても食べたいものを食べられるようにしてあげられるといいですね。

遠山先生お口のケアに関心を持ち、続けていただくこと。これに尽きると思います。

石川さん:私も里親さんに譲渡する時に、まずお口のケアについてお伝えします。伝えることで、ご理解いただき、実行してもらえれば、とても嬉しいです。世間の最上級ではなく、「自分の最上級を目指して欲しい」と思っています。