シェルター・メディスンはどんな学問?

シェルター・メディスンとは、アメリカ・カリフォルニア大学にて研究が進められている、動物保護施設のための獣医療のことを指します。

家庭で飼育されている動物の場合、健康状態の管理は一頭一頭個別におこなわれるのが一般的。
しかし、保護施設など集団で生活している場合、感染症が蔓延したり、ケンカによってケガを負ったりと、単独飼育では起こりえない問題も発生します。
また、誰がごはんをどのくらい食べたのか、誰がどんな状態の排便をしたのかなどを正確に把握することが難しいため、その集団全体での管理が必要になってきます。

そこで、これらを「科学的に管理する」ことが、シェルター・メディスンの役割です。
シェルター・メディスンは、保護施設にいる動物たちをひとつの群として管理し、群全体の健康状態を維持しながら、一頭でも多くの一般家庭に譲渡することを目的としています。
また、保護施設以外では災害時における被災動物の管理にも活用されているなど、動物のさまざまな問題にも対応しています。

日本獣医生命科学大学の活動について

アメリカ・カリフォルニア大学にて研究が進められているシェルター・メディスンですが、日本でも徐々に活用されはじめています。

日本獣医師生命科学大学では、シェルター・メディスンを用いて、2019年より動物の保護・譲渡活動をおこなっており、新たな家庭に迎えられています。

そして今後、さらに保護・譲渡活動を広く進めていくため、日本獣医生命科学大学では、「家族のいない犬と猫を幸せにするプロジェクト」を発足しました。

家族のいない犬と猫を幸せにするプロジェクト

「家族のいない犬と猫を幸せにするプロジェクト」の目的は、「一人でも多くの方が安心して動物(ペット)と暮らせる社会」を目指すこと。

そのためには、さまざまな事情で保護した動物たちを新しいご家庭にお迎えいただけるように、家庭環境に慣れさせたり、病気を治したり、しつけをおこなったりすることが大切です。

また、犬や猫は、人と一緒に暮らすことで幸せを感じる「伴侶動物(コンパニオンアニマル)」です。
犬や猫に1日でも早く幸せを与えてあげるため、譲渡までの期間をできるだけ短くできるよう、適切に管理することが重要になってきます。

このプロジェクトでは、シェルター・メディスンを土台に健全な飼養管理をするとともに、家族のいない犬や猫の問題を根本から検証・対策をおこない、二度と不幸な動物を生み出さないような仕組みづくりを目指しています。

もしご賛同いただける場合は、クラウドファンティングを通じて、ご支援いただけると幸いです。