ねこひげハウスとは
2011年より知人のご兄弟が育てられていた猫:約250頭(内シェルター:約170頭、知人宅:約80頭)、犬:11頭(内シェルター:1頭、知人宅:10頭)の飼養のお手伝いをされてきたという石川さん。元々ご自身も猫2頭と暮らしていたという猫好きですが、最初はこの頭数の多さにびっくりされたそうです。
それから約10年が経ち、その間に猫ちゃんたちも新しいご家族に迎えられたり、年を取ったりするなど、入れ替わりはありましたが、常に100頭以上の猫ちゃんと一緒に暮らす石川さんに、今までの経験から一般家庭でも心がけたい多頭飼育の注意点について教えていただきます。
新たな家族を迎えたときに気をつけること
これから新たな猫ちゃんを迎えたいと考えている方の中には、初めて2頭以上飼う方もいらっしゃると思います。そんな方に、事前準備や心構えをご紹介いたします。
●相性を見る
保護猫をお迎えするときには、「トライアル」をさせていただける譲渡団体さんがほとんどです。おうち猫ちゃんとの相性を見るために、必ずトライアルを行い、おうち猫ちゃんとの様子を見ましょう。
その際に気を付けていただきたいのが、新しい猫ちゃんはケージの中に入れてタオルをかけてあげることです。そして、おうち猫ちゃんの反応によって、ケージ越しにあいさつができるところから始めるといいかもしれません。
●トイレや食器は多めに準備
猫ちゃんは、キレイ好きな子が多いです。そのため、トイレは猫ちゃんの数に対し、1個多めに準備しておきましょう。そうすることで、汚れたトイレではなく清潔なトイレで用を足すことができます。
また、食器もケンカしないように多めに用意し、トイレも食器も1ヶ所にまとめずに散らすようにしてあげましょう。特に、水の食器はひっくり返してしまうことがあります。猫ちゃんは腎臓に負担がかかりやすいと言われているため、1ヶ所ひっくり返しても、他の場所で飲めるようにしておくことをおすすめします。
●隠れ家をつくる
もし猫ちゃん同士がケンカをしてしまった場合のことを考え、逃げ場を作ってあげましょう。逃げ場は、床だけでなく、壁や天井も含めて導線を考え、道を作ってあげると良いと思います。
猫ちゃんの様子を見て、逃げにくい様子でしたら、配置を変更することを考えてあげましょう。
多頭猫と暮らす
では、実際に複数の猫と家族になったときは、どのようなことに気を付ければよいでしょうか
●トイレは常に清潔に
猫ちゃんはキレイ好きな子が多いです。そのため、トイレは常に清潔な状態を心がけましょう。また、神経質な猫ちゃんは、他の子が利用したトイレを使わないこともあります。
トイレを我慢することは、猫ちゃんの健康にとって影響がありますし、飼い主さんにとっても匂いや衛生面で問題があります。トイレが汚れてきたら、キレイに拭いてあげましょう。
●ご飯は最後まで見守る
猫ちゃんを5頭飼育する場合、5つの食器があったら食事中は目を離さないようにしてください。食器が全てキレイになったからといって、5頭がしっかり食べているとは限りません。実は、先に食べ終わった子が、食が細い子の分を食べていた、なんてこともあり得ます。
また、食事中に吐いてしまったり、その後、下痢をしてしまったり、という健康管理をするうえでも食事はとても大切です。
●多頭飼育の方が歯周病になりやすい
もし、複数の猫ちゃんで同じ食器を使って水を飲んでいるのであれば、歯周病に注意しましょう。歯周病菌は、水を介してうつることもあります。
お口に触れることを嫌がらない子であれば、こまめにお口の臭いをチェックしてあげましょう。また、よだれが出ていたり、食が細くなったり、食べが悪くなることも、歯周病が原因かもしれません。
さいごに
最近、猫ちゃんを多頭で迎えられる方が増えているように思います。そんななかで、石川さんにこんなことも聞いてみました。
Q.猫ちゃんの性別によって相性ってわかりますか?
たくさんの猫ちゃんを育てていらっしゃる石川さんは、性別はあまり相性には関係ないとおっしゃっていました。「おうち猫が女の子だから次は男の子がいい」、「おうち猫が男の子だから男の子同士はケンカになりそう」とは一概に言えないようです。
ただ、「女の子は気が強い子が多いため、好き嫌いがはっきりしている」、「男の子の方が甘えん坊」という性別による傾向はあるそうで、例えばおうち猫が気が強い男の子だったら、気が強い女の子は相性があまりよくない、かもしれません。
Q.多頭飼育のメリットってなんですか?
「多頭飼育は、飼い主さんも猫ちゃんも気が楽だ」と石川さん。飼い主さんにとっては、例えばおうちを留守にしているときも、猫ちゃんたちが複数頭で遊んでいられるので、安心して外出できますし、猫ちゃんも仲がいい兄弟などはあまり離さずに複数頭同時にお迎えしてあげたほうが、心細くなくストレスもかかりません。
一方で、多頭飼育には、ある程度猫ちゃんの逃げ場となる広さが必要です。また、健康管理などの面でお留守番が長いおうちには、あまり多くの頭数がいると、誰が体調が悪いのか、わかりにくい可能性もあります。
ご家庭のライフスタイルや住居などはそれぞれ異なります。飼い主さんも猫ちゃんの一番良いカタチで幸せな猫ライフを送れることがいいと思います。猫ちゃんの幸せに寄り添った過ごし方を探してみましょう。